日刊アルバムレビュー⑧Gjallarhorn/9mm Parabellum Bullet

こんにちは。

(書いてから気付いたが、ストリーミング未配信だった。かなしっ)

9mm Parabellum Bullet – 01. (Teenage) Disaster

今回は、2005年リリース、9mm Parabellum Bulletの1stミニアルバムを。

2005年の邦楽ロックシーンといえば、バンプ、エルレの全盛期、アジカン『ソルファ』の翌年、銀杏BOYZ『君と僕の~』『DOOR』のリリース年という邦楽ロックの黄金期。

そんな時代に産声を上げたこのバンドは、「マジでヤバイ」。それに尽きる。

音像こそいわゆる「ナンバーガール以降」の邦楽ロックらしい乾いたギターとドラムが主体のバンドサウンドだが、スラッシュメタルの影響が強い高速BPMのドラムとポスト・ハードコア直系のバカテクギター、それにvo.菅原卓郎のハイトーンの歌唱によるR&Bすら匂わせる歌謡曲的なメロディ、そして頽廃的でニヒリズムに満ちた歌詞世界の組み合わせはあまりに強烈で、完全に邦楽ロックのエポックメイキングなバンドである。これまでオルタナあるいはメロコア寄りのポップスが志向されてきた日本のバンド業界で、ハードコアメタルと歌謡曲という一見チグハグなアプローチからここまでポップな作品を続けざまにリリースし瞬く間に邦楽ロックのスターダムへの階段をかけ上がったのだから、このバンドは、マジでヤバイ。

こんな音楽は人類史上他にはなかったので、完全な発明だ。そもそも、「邦楽ロックらしさ」という部分の3割くらいはこのバンドが培ったところがあるような気すらする。このアルバムが発売されたわずか3年後にはロッキンでレイクステージのトップバッターを努め、アルバムはチャートトップ10入りしてるのだから、名実ともに彼らが2000年代後半の邦楽ロックの台風の目であったことは言うまでもない。

ただ本アルバムは、いしわたり淳治という名プロデューサーのもと彼らの音楽が商業的な成功をおさめる以前の作品であり、9mmというバンドの音楽的体験の原初ともいえる荒削りで尖りに尖った7曲が収録されている。

9mm Parabellum Bulletがリリースした初のアルバム。タイトルの「Gjallarhorn」は北欧神話の神、ヘイムダルが最終戦争ラグナロクの到来を告げるために吹いた角笛、「ギャラルホルン」に由来。

(Wikipediaより引用)

かっけ~~。

#1 (teenage)disasterは、ツインペダルによるすさまじい高速バスドラムとスラッシュメタルばりの高速ギターリフで幕を開ける一切妥協なしのロックで、ほとんど同じ構成の一番と二番を繰り返しアウトロのギターソロまでわずか2分。嵐のような2分間。

#2 talking machineは今なおライブで定番曲となっている高速ダンスナンバーで、イントロの非常に特徴的なリフなどは後の9mmの片鱗を感じさせる叙情が見られるだろう。曲全体にわたって四つ打ちのバスドラムがならさせる構成は、同時代に活躍したthe telephonesやDOPING PANDAらと並んで後の四つ打ちダンスロックブームの原型となるには十分に衝撃的だ(もっとも、後のバンドらに比べるとこの曲などは四つ打ちの上でドラムが暴れまくっているぶんハードである)。余談だが、この曲のMVは俺が人生で見てきたMVで一番ダサい。↓必見

Talking Machine – 9mm Parabellum Bullet

一転テンション低めに抑えられたボーカルが厭世感ただよう世界観を歌う#3 interceptorは、サビの最後で挿入される英詞がどことなく青さを感じさせる。#4 atmosphereはこのアルバムでもっともテンポの遅いミディアム・ナンバーで、非常に簡素で音の隙間の空間的な広がりを感じさせるリフとドラム、人間社会の暗い部分を抉るような歌詞、Cメロの思いがけずドラマチックな展開はTHE BACK HORNらの少し前の世代のオルタナ界隈で活躍したバンドの影響を感じさせる。

#5 beautiful targetはメタル風味の高速タッピングのイントロと、日本的な情緒を感じさせる独特なリズムによって9mmというバンドが特徴立っていることを感じさせる名曲で、アウトロのややカオスなアンサンブルも見事。続く#6 marvelousもこれぞ9mm!と膝を打ちたくなるようなドラムテクニックと独特なリフの饗宴で、後半のブレイクから曲調がガラッと変わり長いアウトロに繋がる構成は少し実験的な匂いを感じる。アルバム最後を飾る#7 fartherはわずか一分半のバラード風の曲で、轟音のごとくかき鳴らされる歪んだギターが心地よい。

ややドラムが際立ちすぎなマスタリングや、垢抜けないボーカルもこの際無視してこの初期衝動の波に打たれるのがこのアルバムの正しい聴取態度であるように思う。一方で、ほとんど変わらないアレンジで今も演奏される#2や、9mmらしさが存分に発揮されている#6など、やはりこのバンドが今後巨大な存在になっていくことが示唆される粒ぞろいの名盤だといえるだろう。

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