無限列車編を観た
画像は公式のポスタービジュアルです。以下ネタバレとか普通にします。
初日IMAXで見た。デスゲームか?ってくらい老若男女が揃ってて、鬼滅グッズ着用した人もヤンキーカップルもお爺ちゃんもいた。それが最後には各所から啜り泣きが聞こえるんだからすごいよね。無限列車編は自分も好きだったので2回ぐらい涙ぐんでます。
テレビアニメの時もそうだけど、呼吸の「型」、原作だと絵巻みたいな静止画っぽい印象なんだよね。それはそれで面白いんだけど、これをド派手カラーグリグリアニメーションにすることでもうわかりやすくカッコいい必殺技になってる。そりゃDX日輪刀も出るよ。かめはめ波とかゴムゴムの銃に並ぶ「子どもが真似する必殺技」になってるんじゃないかな。順序が逆だとしても、ライダーキックしたりプリキュアになったりする層に受けてる以上その「真似」は大事なはず。ほんとに相性が良かったと思う。
俺が涙ぐんだシーンは原作でもグッときたシーンです。炭治郎の悪魔ブチ切れシーンと煉獄さんの最後。というか、雑なところも好きなところも印象が変わらんアニメですね。戦闘シーンや泣かせるシーンは枚数使って動かしながら音楽かけて、他は原作を守ってやってる。なので原作が好きだった自分は普通に楽しかったの一言になってしまい、ここに書くことはエセ分析与太話のオンパレード。
原作について
「生殺与奪の権を〜」で面白い台詞回しだなと思い作者の読切を読んで独特さが気に入りまして。で、那田蜘蛛山編の累とその結末でめちゃくちゃ好きになりました。古参面できる状況にはいると思います。
そこまでは手放しに好きなんですけど、そのあとはけっこう雑な部分も目につきますね。というかこの漫画、やりたいこと以外はすごい雑に進めてて、でもそこがオタク臭さを適度に抜いてるんじゃないかと思ってます。俺だったら絶対型全部とそれぞれの呼吸の特性とか考える。
何度も言う通り好きなので雑なところも第二義で好き、と前置きつつ。無限列車編で言うと(まずそのサブタイなに?)禰豆子が喋って炭治郎がハッとするシーン。アニメで一続きで見ると、善逸の夢で禰豆子がベラベラ喋ってるから感動が薄い!幸せそうな他の家族の方が心に来るので、炭治郎が背を向けるひと押しにちょっとケチがついてる感が。
あと、善逸と伊乃助の夢が適当過ぎる。炭治郎と煉獄さんが満ち足りた過去を回想してて、モブたちも死んだ肉親とか(おそらく)結核の無い自分の夢を見てそうなのに。原作からすると二人もそこそこの過去があるのに!ただこれも週刊連載だと箸休めにはなるんだけど、特に猪乃助の夢は大画面で見るとなかなか厳しかった。
自分は無限列車編を「鬼滅の刃」の転機だと思ってて。なぜかというと、ここを境に「雑では?」という部分が増えてくんですよね。塩試合が続く鬼たち、階級やムキムキねずみなどの突拍子の無い設定など。普通、「入れ替わりの血戦」やるだろ!!意味が無くなった逆に、「鬼」と「人間」の対立軸は煉獄さんと猗窩座の戦いでハッキリ一本化される。
鬼は永遠を手にしていて、人間は瞬間を受け継いでいる。鬼は夜に逃げ込む卑怯者で、人間は太陽の力を背負って戦う。だからここから先の戦いは逃げる鬼と追う人の逆・鬼ごっこが続いていく。
原作、俺の印象だとこっから緩やかに面白さが下降していきます。那田蜘蛛山が好きなのは、敵が「擬似家族」なところなんですよ。家族の絆を胸に戦う炭治郎が倒して赦す相手として累はこれ以上ない。その序章があって、先輩として柱が登場して、煉獄さんが見事に鬼の醜さと人間の尊さを炭治郎たちに示してみせて、あとはそのままのノリでラストまで突き進む。極め付けが最終回なわけです。
上に「やりたいこと以外は雑」って書いたけど、裏返しで「やりたいことは明確」なんですよね、鬼滅。鬼のせいで人がバタバタ死ぬ極限状況の中で命を紡いでいく人間賛歌。無限列車編以降でも回想シーンの上手さはそのままだし、読切とかも回想の出来がすごい良くて、その人間賛歌は保ったままラストまで一直線。
今日び、こんな真っ正面から上の世代から受け継ぐ人間賛歌をやるのも少なくないですか?いや色々あるけど、最近の大作というと「血の繋がりがなくても受け継がれる」方が多くないですか。雑だったらごめんなさい。俺のジャンプ漫画の観測範囲だとヒロアカとかジョジョの血統の繋がりが段々トリッキーになってることを想定してます。まあ少なくとも昔より血を重視しなくなった時代ではあるのでは。
それが鬼滅だと、炭治郎の主人公たる由縁が四百年受け継がれてきた日の呼吸ですよ。炭治郎は万全な使い手ではなくて、最初の使い手の縁壱が最強で、そこから無惨が逃げ続けて、受け継いだ呼吸でトドメを刺す。最後にはみんなが転生して幸せに暮らす。神話だなみたいだなって感じです。次々に受け継がれていく日本神話が根底にあるから日本で老若男女に受けたって考察、待ってます。
でも逆に目新しさはあるのかなって気はするし、何より人間賛歌って人が人である以上万人受けしやすいからな!俺は鬼滅の良さはそれに正面から書いてちゃんと「泣ける」仕上がりにあると思ってます。極限状況だから家族の絆もまあ映えるし、鬼殺隊が異常者みたいなことを卑怯な鬼に言わせることで、さらっと少し距離を置きつつ人間側に足を置いて見れるのは意図的かどうかわからないけど上手い。他の部分も、まあ雑設定なら雑設定でグダグダ使わずさらっと処理してるからそこまで気にならないんですよ。ここは好みがあるところだけど。
好きなところは第一義で好きだし、雑なところもまあ流せるなって感じで総合的に好き。ただ、もともと一貫性のあるところとないところがハッキリ分かれてる。それが俺にとっての鬼滅です。みんなも、全集中!